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: 気圧傾度力 : 流体にはたらく基本的な力 : 流体にはたらく基本的な力   目次

万有引力

図1.1のように2つの物体があるとき,その間には物体の質量に比例し,2物体間の距離の2乗に反比例する引力が働く.この力を万有引力(universal gravitation)という.
図 2.1: 球形をした2物体の間に働く引力
l6.5cm
Image fig2_1

2つの物体の質量をそれぞれ$ M,m$とし2つの物体の位置ベクトルの相対ベクトルを$ \bm{r}$とする(図参照).このとき質量$ m$に及ぼす質量$ M$の引力$ \bm{F}_g$は,

$\displaystyle \bm{F}_g = - \dfrac{GMm}{r^2}(\dfrac{\bm{r}}{r})$ (3.2)

となる。ただし $ r=\vert\bm{r}\vert$であり,$ G$は万有引力定数( $ =6.673 \times 10^{-23}{\rm\;[kg^{-1}m^3s^{-2}]}$)である.

式(2.2)は,一般的には容積が無限小であるような仮想的なもの(質点)に対して適用されるべきであるが,球対称な質量分布を持つような物体に対しては,その2物体の中心間の距離を$ r$として適用することができる.したがって,地球の質量を$ M$,大気あるいは海洋の微小部分の質量を$ m$とすれば,単位質量あたりの微小部分におよぼす地球の引力は,

$\displaystyle \dfrac{\bm{F}_g}{m}\equiv g^*= \dfrac{GM}{r^2}(\dfrac{\bm{r}}{r})$ (3.3)

である.平均海面から測った高さを$ z$,地球の平均半径を$ a$ $ =6371{\rm\; [km]}$)とすると,$ r=a+z$であるので,

$\displaystyle \bm{g}^* = \dfrac{\bm{g}_0^*}{(1 + \dfrac{z}{a})^2}
$

である.ここで,

$\displaystyle \bm{g}_0^* = - \dfrac{GM}{a^2}\dfrac{\bm{r}}{r}
$

は平均海面における引力である.気象学では$ z\ll a$であるので, $ \bm{g}^* = \bm{g}_0^*$となり,地球の引力は高さによらず一定として取り扱えるものとする.

Yuta 平成22年1月23日