流体内部のある一点の(十分な量の分子を含む)微小体積について物理量の平均値が取れるとすると,その点における物理量はその点の連続関数として捉えることができる.このように,ミクロな分子の物性や運動を微小体積内の平均値で置き換えることによって得られる連続的な物理的性質を持つ仮想的な物体は,連続体(continuum)と呼ばれる.また,このような近似は連続体近似と呼ばれる.流体力学では,流体を連続体として取り扱う.
このような連続体では,密度は以下のように定義される.流体が質量を持った粒子(原子や分子)で構成されていする。流体中の点Pを含む微小体積をとり,そこに含まれる粒子の個数を個,点Pの位置ベクトルを,点Pにおける密度を とすると,
微小体積内に含まれる分子が少なすぎる場合,分子の衝突が少ないため気体の物理的な性質がうまく平均化されない.このような場合には連続体近似は成り立たなくなる.