Debian GNU/Linux 9 (Stretch) のインストール

2017年春に気象学研究室で実施した、 Debianインストールのための補助資料。 文責は納多にあります。 質問、コメントなどはいつでもどうぞ。

西本さんによる2016年度版とほとんど同じですが、今年度はDebian GNU/Linux 9 (Stretch) 64bit版をインストールします。

Debianとは

DebianまたはDebian Projectは、ボランティアの集まりによってフリー/オープンなオペレーティングシステム (OS) を作成しようとするプロジェクト。
またそのプロジェクトによって作成されたオペレーティングシステムを指す。
(((<"Wikipedia"|URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/Debian>))より)

最新版は Debian 8.7.1 jessie (2017-4-12(Wed)現在)。

今回は、近いうちにリリースされると思われる Debian 9 stretch をインストールします。

おまけ: jessie

リンク先

インストール手順

Debian公式サイトのインストールガイドも参考に。

準備

  1. インストールイメージのダウンロード
  2. USBメモリにISOを焼く
  3. PCのドライブ読み込み順の設定
    • PCのBIOSで設定します。使っている機種によってBIOS起動の方法は異なります。
    • USBドライブから起動するようにします。

USBメディアからインストール

  1. ネットワークに接続する(LANケーブル)
  2. USB差してPC起動。途中で聞かれる質問はつぎのように答える。
    • Install
    • Language: 日本語
    • 場所の選択:日本
    • キーボードの設定:日本語
    • ネットワークハードウェアの検出:(見つからないファームウェアファイルがあった場合、その名前をメモしてから)いいえ
    • network firmwareの検出 (聞かれないかも) : いいえ
    • プライマリネットワークインターフェイス (聞かれないかも):eth0
    • ホスト名:お好きなものに(例:debian, momonga,...)
    • ドメイン名:kugi-mete
    • rootのパスワード:(難しそうなの)
    • 新しいユーザの本名:(あなたのお名前なーに?)
    • アカウントのユーザー名:(お好きなのを。studiaのものと揃えておくほうが無難)
    • 新しいユーザのパスワード:(rootのと一緒はだめ)
    • パーティショニングの方法:(お好きに。おすすめは、「ガイド—ディスク全体を使う 」)
    • パーティショニングするディスクの選択:SCSI1(HDDのほう)
    • ディスクのパーティショニング:すべてのファイルを1つのパーティションに
      • 変更内容を確認して「パーティショニングの終了とディスクへの変更の書き込み」
      • 「ディスクに変更を書き込みますか?」に「はい」
      • (少し時間がかかります。マシンにもよりますが、5-10 分程度)
    • Debianアーカイブミラーの国:日本
    • Debianアーカイブミラー:dennou-k.gfd-dennou.org
    • httpプロキシの情報:なし
    • Debianパッケージ利用調査に参加しますか?:(お好きに…)
    • インストールするソフトウェアの選択:
      • Debianデスクトップ環境
        • (お好きなのをどうぞ。何も選択しない場合は GNOME が入ります。以降の資料では GNOME をインストールした前提で書いてあります)
      • プリンタサーバ
      • SSHサーバ (← これは最初は選択されていないので注意!)
      • 標準システムユーティリティ
    • (少し時間がかかります。マシンや選択したソフトウェアにもよりますが、30 分程度)
    • ハードディスクへのGRUBブートローダのインストール: はい
    • ブートローダをインストールするデバイス: (HDD のほう)
  3. インストール完了。USBを引っこ抜いて、再起動。

基本情報の設定

端末の確認

  • 画面左上の「アクティビティ」(または Windows キー)
  • 検索ワードに「terminal」と入力すると「端末」が候補に表示されるので選択

この先、"$" または "#" で始まる行は、"$", "#" を除いたものを端末に入力します。 "$" で始まる行は一般ユーザーで、 "#" で始まる行は root になって実行することを意味します。

root になれるか確認

$ su -

端末の "$" の部分が "#" に変わったら、root になっています。

apt の設定

root になったうえで、/etc/apt/sources.list を開きます。 現時点では Emacs, Vim はインストールされていないので、 デフォルトでインストールされている Nano を使います。

# nano /etc/apt/sources.list

次のように書き直します。

deb http://dennou-k.gfd-dennou.org/debian/ stretch main contrib non-free
deb-src http://dennou-k.gfd-dennou.org/debian/ stretch main contrib non-free

deb http://security.debian.org/debian-security stretch/updates main contrib non-free
deb-src http://security.debian.org/debian-security stretch/updates main contrib non-free

deb http://www.gfd-dennou.org/library/cc-env/Linux/debian-dennou stretch main
deb-src http://www.gfd-dennou.org/library/cc-env/Linux/debian-dennou stretch main

最後の2行は、データ解析やモデルのビルドに使うであろう電脳製品 (DCLとか) の配布先であり、利用するには鍵の登録が必要です。 Debian-Dennou: 地球流体電脳倶楽部謹製品 Debian パッケージ集 を参考に、以下のように鍵を登録します。

# apt-get install debian-keyring
# gpg --keyring /usr/share/keyrings/debian-maintainers.gpg --export -a 891D7E07 | apt-key add -

そして

# apt-get update
# apt-get upgrade

と実行すると最新版のソフトウェアにアップデートされます。

上記2つのコマンドは、普段から頻繁に実行しておきましょう。 もし "linux" で始まる名前のパッケージが更新された場合は PC を再起動しましょう。

入れたいパッケージを探すときには次のコマンドを使います。

$ apt-cache search パッケージ名

入れたいファイルからパッケージ名を探すときには次のコマンドを使います。

# apt-get install apt-file     # 最初のみ
# apt-file update
$ apt-file search ファイル名   # これは一般ユーザーでも実行可能

sudoの設定

毎回rootユーザになるのは面倒なので、sudoしてしまいましょう。

# apt-get install sudo
# visudo

"# User privilege specification" の欄を探し、次のように書き換えます。 以下の "username" の部分は自分のアカウント名に読み替えてください。

# User privilege specification
root    ALL=(ALL:ALL) ALL
username   ALL=(ALL:ALL) ALL
Defaults:username  !env_reset

これより先は

# コマンド

$ sudo コマンド

として実行することができます。 また、

$ sudo -s

で root になれます。

sudo の実行時はユーザーのパスワード (root パスワードではない) を求められることがあります。 また初回実行時のみ、sudo に関する注意が表示されます。

ファームウェアのインストール

インストールの際にファームウェアが見つからなかった場合、ここでインストールしておきましょう。 以下は b43/ucode16_mimo.fw をインストールする例です。

source.list の内容確認をしたうえで

$ lspci | grep BCM43

でデバイスの型番 (BCM43 で始まる部分) を判別し、どのパッケージを入れるか決めます。

# apt-get update
# apt-get install firmware-b43-installer   # デバイスによる

メール

Thunderbird を使う場合、以下のようにします。

  1. インストール

    # apt-get install thunderbird

  2. アプリケーションの起動
  • 画面左上の「アクティビティ」(または Windows キー)
  • 検索ワードに「Thunderbird」と入力すると候補に表示されるので選択
  1. 「メールアカウントを設定する」を選ぶ
  2. 設定は次のように:
    • あなたのお名前:あなたのお名前。メールの差出人欄に表示されます。
    • メールアドレス:username@kugi.kyoto-u.ac.jp (username の部分は自分のアカウント名に読み替え)
    • パスワード:(さっき決めたやつ)
    • 受信サーバ POP3
      • サーバのホスト名:studia01.????.????.??.??
      • ポート番号:110
      • SSL: なし
      • 認証方式:暗号化されたパスワード認証
    • 送信サーバ SMTP
      • サーバのホスト名:studia01.????.????.??.??
      • ポート番号:25
      • SSL: なし
      • 認証方式:認証なし
  • その他
    • ノート PC 以外でもメールを読む場合は、サーバにメールを残す設定にします。ただし、サーバの負荷にならないよう、メールを削除する期限をできるだけ短く設定しておきましょう。

ホームディレクトリのフォルダ名を英語に

$ LANG=C xdg-user-dirs-gtk-update

「次回から表示しない」にチェックを入れたうえで "Update Names" を選択。

参考: ホームディレクトリのフォルダ名を日本語から英語に変更するには − @IT

プリンタ

インストールの際は研究室内の有線LANにつないでおいてください。

FUJI xerox ApeosPort-V C4475
IPアドレス:(スタッフか先輩に聞いてね)
http://www.fujixerox.co.jp/download/apeosport/5_c7775series.html
  1. ドライバーのインストール
    • Stretch 以降であれば、パッケージが存在します。既に入っているはずです。

      # apt-get install printer-driver-fujixerox
  2. cupsの設定
    • ブラウザ (例えば Firefox) で http://localhost:631/ へアクセス
    • "CUPS for Administrations" の "Adding Printers and Classes" を選択
    • 「Add Printer」を選択
    • アカウント名に "root"、パスワードに root のパスワード (インストール時に入力したもの) を入力
      • ブラウザには記憶させないこと
    • 画面にしたがって次のように選択
      • "ApeosPort-V ..." を選択
      • Name, Description, Location はそのまま
      • Make: FX
      • Model: FX Printer Driver for Linux (en)
      • JCL もそのまま (後から変更できます)
  3. テストページの印刷
    • CUPS のタブの "Printers" を選択
    • "FUJI_XEROX ..." を選択
    • "Maintenance" のプルダウンメニューを "Print Test Page" にすると印刷できます

テストページは無線ではなく有線につないで印刷するほうがうまく行くようです。

おまけ: 今のプリンタ (ApeosPort-V C4475) は自動でホチキス止めしてくれる機能があります。本読みのレジュメ作りに便利です。

文書関係ソフトウェアのインストール

デフォルトでインストールされたものも含んでいます。

文書作成

LibreOffice

ドキュメント作成、表計算、プレゼンテーション資料作成などに使います(Microsoft Officeのようなもの)

# apt-get install libreoffice

テキストエディタ

vim

# apt-get install vim

参考: Vim基本操作まとめ

emacs関係

# apt-get install emacs
# apt-get install yatex

yatex: emacsでのTeXモード。TeX書くときに便利です。

ビューア

# apt-get install evince
# apt-get install gv

LaTeX

# apt-get install texlive-lang-cjk   # 日本語環境
# apt-get install xdvik-ja
# apt-get install texlive-latex-extra

データ解析関係ソフトウェアのインストール

プログラミング言語

fortranコンパイラ

# apt-get install gfortran

Cコンパイラ

# apt-get install gcc

Ruby インタープリター

# apt-get install ruby

データフォーマット

netcdf

# apt-get install netcdf-bin libnetcdf-dev netcdf-doc

数値モデル用ライブラリ(電脳製品)

# apt-get install ispack
# apt-get install spml

作図・データ解析(電脳製品)

# apt-get install dcl-f77
# apt-get install gphys

Ruby-DCL, GPhysの使い方は、データ解析講習会を見てね。

作図・データ解析(その他)

以下は必要に応じてどうぞ

# apt-get install gnuplot
# apt-get install grads
# apt-get install ncl-ncarg ncl-tools

その他

セキュリティ対策

ウイルス対策

Windows PC には必ずウイルス対策ソフトウェアを入れておいてください. ウイルス感染が発覚した場合, 研究室や京大全体のネットワークが外部から遮断されることがあり, 皆に迷惑がかかります.

もしウイルス対策ソフトウェアがない場合は研究室で購入したものがありますので それを使ってください. 詳しい場所は石岡先生に伺ってください.

また, 私物・共用問わず, PC は使い終わったらシャットダウンするようにしてください. セキュリティリスクを抑えるだけでなく研究室の電気代の節約にもなります.

メーリングリスト

下記のメーリングリストに登録するとセキュリティ関連の情報がメールで来るので便利です.

プロキシ設定

研究室内で論文にアクセスする場合はプロキシ(代理接続) | 学外サービスへの接続 | 京都大学情報環境機構の「KUINS-IIから電子ジャーナルを利用する場合」を参考にしてください。

無線LAN

このページが参考になるかな?Debianで無線LANに接続する

まずは無線LANカードの情報を取得

# lspci | grep Network

メーカー名や型番をメモしておきます。 複数表示された場合は、無線らしいほうを見ます (Wireless などの単語が含まれているかもしれません)。

そして適合ドライバー・ファームウェアを調べます。

# apt-cache search firmware | grep メーカー名

見つからない場合はFirmware - Debian Wikiで検索してみましょう。

firmware-xxxx が適合した場合は

# apt-get install firmware-xxxx

GUIのネットワークマネージャーで見えるかな??見えればOK!

  • お茶部屋にある無線 LAN のパスワードは、近くの人に聞いてください。
  • miako に接続する場合は、PPTPを使用する必要があります。PPTP|学外からの接続|京都大学情報環境機構

    おそらく、

    # apt-get install network-manager-pptp-gnome

    をして、GUIのネットワークマネージャーで設定すれば接続できたはず…!これもやってみましょう。

  • おまけ: eduroam | 無線LAN | 京都大学情報環境機構
    • eduroam アカウントを取得しておくと、ひとつのアカウントで世界中のいろいろな学術機関の無線 LAN に接続できるので、出張などに便利です。京大内にもスポットがあります。

ssh による遠隔ログイン

studiaXX にアカウントが作られていて、手元の PC とアカウント名が同じだとします。 その場合、研究室内からならば

$ ssh studiaXX

でログインできます。 お絵かきツールなどの GUI 画面を表示したい場合は

$ ssh studiaXX -X

と、"-X" をつけます。

rsync

遠隔のマシンとのファイルのやりとりができます。 2回目以降の転送では変更のないファイルをスキップしてくれます。 バックアップに便利です。

# apt-get install rsync
# rsync -auvz 転送元 転送先

Ctrl キーと Caps Lock キーを入れ替える

Emacs を使う人は、設定しておくと便利です。

  • 画面左上の「アクティビティ」(または Windows キー)
  • 検索ワードに「tweak」と入力すると「Tweak Tool」が候補に表示されるので選択
  • 「タイピング」 → 「Ctrl キーの位置」 → 「Ctrl と Caps Lock を入れ替える」

設定はすぐに反映され、再起動しても保存されています。

参考: keyboard - How do I remap the Caps Lock and Ctrl keys? - Ask Ubuntu

おまけ

エディタ (Emacs, Vim, などどれかひとつ), TeX, Fortran, Ruby は研究でよく使うので, できるだけ早いうちに使い慣れておきましょう. コマンドやカスタマイズの仕方によっては、作業効率が何倍も変わるものもあります。 学生部屋にいろんな本があるので、目を通しておくことをおすすめします。