[EPA]tcpserverのインストールと設定

smtp サービスを提供する上で, tcpserver 越しに qmail-smtpd を動かすため, tcpserver をインストールする. tcpserver はデータベースを持っており, 大規模, 複雑な接続制御が高速に行える.

参考: <URL:http://www.emaillab.org/djb/tcpserver/whatis.html>

inetd からの qmail 起動を停止

テストのために記述していた /etc/inetd.conf の smtp で始まる行をコメントアウトする. そして, inetdを再起動.

# /etc/init.d/openbsd-inetd restart

smtp ポートを listen しているプログラムがないことを確認する.

# netstat -l

ソースの取得と展開, パッチ当てとmake

参考: <URL:http://cyberam.dip.jp/linux_server/mail/qmail_main.html>

# wget http://tools.qmail.jp/ucspi-tcp/ucspi-tcp-0.88.tar.gz
# wget http://qmail.org/moni.csi.hu/pub/glibc-2.3.1/ucspi-tcp-0.88.errno.patch
# tar xfz ucspi-tcp-0.88.tar.gz
# cd ucspi-tcp-0.88
# patch  -p1 < ../ucspi-tcp-0.88.errno.patch

インストール先を /usr/local/ucspi-tcp に変更. すなわち, conf-home の一行目を /usr/local/ucspi-tcp に書き換える.

# make
# make setup check

インストールした実行ファイルへのパスの設定

インストールされた tcpserver の実行ファイル群へパスを通す.

[EPA]パスの設定 <一般ユーザ用コマンドのパス> /usr/local/ucspi-tcp/bin を追加する. (システム用コマンドも一般ユーザ用コマンドと同じ場所に インストールされているため, システム用コマンド用の設定を 別途行う必要は無い).

起動テスト

使いかたは

# tcpserver

とすると出力される. 詳しくは <URL:http://cr.yp.to/ucspi-tcp/tcpserver.html> に書いてある.

qmaildのUID, nofilesのGIDを確認.

$ id qmaild
uid=106(qmaild) gid=200(nofiles) groups=200(nofiles)

以下を実行し, tcpserverを起動.

# tcpserver -u xxxx -g yyyy 0 smtp /var/qmail/bin/qmail-smtpd &

ここで, xxxx は qmaild の UID, yyyy は nofiles の GID である.

メール受信テストを [EPA]qmailのインストールと設定#smtp(仮) のところでやったようにやってみる. すなわち, 他のホストから自分のメールアドレスに宛ててメールを送ってみる.

起動スクリプト作成

起動スクリプトを /etc/init.d/tcpserver に作成する. 中身は tcpserver 起動スクリプト を参照のこと.

# cd /etc/init.d/
# touch tcpserver
# chown root:root tcpserver
# chmod 755 tcpserver
# vi tcpserver

編集後, update-rc.d スクリプトでランレベルごとの設定を 行う.

# update-rc.d tcpserver defaults

ホスト制限設定

smtp 中継を許可するホストを指定する. <URL:http://man.qmail.jp/faq/faq5.html#5.4.> を参考にホストリストファイル tcp.smtp を作成し, そのファイルを 元に CDB データベースファイルを作成する.

今回は /usr/local/ucspi-tcp 以下に etc ディレクトリを作成し, その 中にこれらのファイルを作成する.

# mkdir /usr/local/ucspi-tcp/etc
# cd /usr/local/ucspi-tcp/etc

tcp.smtp を書く. 例えば, 133.30.109.XX という IP アドレスのホスト からの smtp 中継を許可するためには, この 1 行目のように書く. 2 行目の 127. はローカルホストを指す. これは常に書くこと.

133.30.109.XX:allow,RELAYCLIENT=""
127.:allow,RELAYCLIENT="" 

1 行目の 133.30.109.XX は後で設定確認するための作業用である. 作業者がアカウントを持つ他のマシンの IP アドレスを記入する.

次に以下のコマンドを実行する. tcp.smtp を元に tcp.smtp.cdb ができる.

# tcprules tcp.smtp.cdb tcp.smtp.tmp < tcp.smtp

tcpserver 起動スクリプト /etc/init.d/tcpserver の起動行は以下のように 編集しなおす (複数行で表示されるかもしれないが, 1 行で書くこと).

/usr/local/bin/tcpserver -v -x /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp.cdb -u xxxx -g yyyy 0 smtp /var/qmail/bin/qmail-smtpd 2>&1 | /var/qmail/bin/splogger smtpd 3 &

xxxx は qmaild の UID. yyyy は nofiles の GID である.

修正された起動スクリプトは tcpserver 起動スクリプト修正版 においてある

追加された部分を説明すると -x /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp.cdb はデー タベースファイル /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp.cdb を参照させるための 設定である. また, 接続の記録を取るために -v オプションと splogger へ の受け渡しが記述されている.

ホスト制限確認

tcpserver プロセスを再起動する.

# /etc/init.d/tcpserver restart

先ほど /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp に書いた IP アドレス (ここでは, 133.30.109.XX) を持つパソコンから telnet でアクセスし, メールサーバ以外のホストへのメール送信を試みる. (下記のコマンドについては <URL:http://man.qmail.jp/jinstall/test.receive.html> 参照). プロンプト入力時には, 左端に '>' を記してある. 実際には表示されない.

% telnet ika.ahs.scitec.kobe-u.ac.jp 25
Trying 133.30.109.XX...
Connected to ika.ahs.scitec.kobe-u.ac.jp.
Escape character is '^]'.
220 ika.ahs.scitec.kobe-u.ac.jp ESMTP
> helo dude
250 domain
> mail <mondo@ahs.scitec.kobe-u.ac.jp>
250 ok
> rcpt <hogehoge@gfd-dennou.org>   # <- 実在のアドレスへ
250 ok
> data
354 go ahead
> Subject: testing
> 
> This is a test.
> .
250 ok 812345679 qp 12345
> quit
221 domain
Connection closed by foreign host.
%

このメールが届くことを確認すること. 次に, /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp に記述されていない他のホストから同様 の作業を行う. この際には rcpt <hogehoge@gfd-dennou.org> を入力した段階で

553 sorry, that domain isn't in my list of allowed rcpthosts (#5.7.1)

というエラーメッセージが返り, メールの送信を拒絶されるはずである. そう ならない場合, ホスト制限がうまく動作していないことになるため, ホスト制限設定 から作業をやり直し, ホスト制限 が行われていることを確認すること.

ホスト制御データベース更新スクリプト作成

tcprules などのコマンドを覚えておくのは面倒なので, /usr/local/ucspi-tcp/etc/ 以下に更新スクリプト を作成した.

/usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp を更新後は

$ /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp_smtp_update.sh update

でデータベースファイルが更新され, tcpserver プロセスが再起動する.

先程, 作業用に使用していた設定 (tcp.smtp の 1 行目) はもう不要なので削除する. 構成員がこのサーバを SMTP サーバーとして使用する場合は, 接続を許可する IP のリストを書き加えること.

動作確認も兼ねて上のスクリプトを実行する.

# /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp_smtp_update.sh update
Updating /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp.cdb using /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp
/usr/local/ucspi-tcp/bin/tcprules /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp.cdb /usr/local/ucspi-tcp/etc/tcp.smtp.tmp
/etc/init.d/tcpserver restart
Restarting tcpserver
Stopping smtp server: tcpserver
Starting smtp server: tcpserver

Update is successful.

先程までメールを送れたマシン (IP: 133.30.109.XX) からメールが送れなくなっていることを確認.