当研究室では, 主に理論および数値計算によって, 地球を含む惑星大気や 地球流体の研究を行っています. 同時にそれらの研究を推進する上で必要 不可欠な情報技術の研究にも取り組んでいます.
太陽系内の地球型惑星(地球・金星・火星)を比べてみると,地球には海があって生命が 存在しているのに対し,金星と火星はそれぞれ灼熱と寒冷な環境で海は存在しません. このような違いはどのようにして生じたのか,どういったメカニズムが表層環境をコン トロールしているのか,さらには生命の生存可能な惑星が形成される確率はどれくらい なのか,太陽系外のまだ見ぬ惑星の素顔はどういったものでありえるのか,そういった 問題を理論的・数値的に研究し,あるいは,惑星探査計画の企画と参加をおこなったり しています.
["<center>"] ["<img src='web_images/three_planets.gif'>"] ["<br>"] ["<small>"] 探査機が撮った金星, 地球, 火星の画像. ["</small>"] ["</center>"]
大気(海洋)におけるエネルギー・運動量・物質の輸送などを理解するためには,大気 (海洋)に現れる流れ・渦・波動などの性質を知る必要があります.特に惑星大気にお いては,自転していることと重力の効果による密度成層のために大気(海洋)中の流れ は大きな影響を受け,直感では理解しがたい奇妙な振る舞いをすることが知られていま す.一方,地球海洋の流れと木星や土星大気の流れには思わぬ類似性があったりもしま す.当研究室ではこうした惑星大気の運動の基礎となる回転と成層が働く流体の運動に 関する一般的知見を得るための理論的・数値的な研究をおこなっています.
["<center>"] ["<img src='web_images/060413merge-b0.1.gif' height='200'>"] ["<img src='http://photojournal.jpl.nasa.gov/jpegMod/PIA02873_modest.jpg' height='200'>"] ["<br>"] ["<small>"] 渦と渦の相互作用に関する数値計算例 (左図) と探査機が撮った木星の画像(右図). ["</small>"] ["</center>"]
惑星気象・気候を探求しその運動を支配する地球流体の振る舞いを調べる上で,数値計 算は大きな力です.当研究室では,数値モデルの開発と数値計算が吐き出す膨大なデー タを処理するユーティリティーの開発という,研究手法の探求にも力をいれており,全 国の研究グループと協力してこれを行っています (地球流体電脳倶楽部).これらの道具を用いて地球シミュレータ,天文台,宇宙科学 研究本部,国立環境研究所等のスーパーコンピュータを駆使したシミュレーション実験 を共同で行っています.