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: 運動方程式 : 質量保存則 : 質量保存則   目次

連続の式の導出

ここで,図3.1のような空間に固定した閉じた曲面$ S$を考える.$ S$で囲まれた領域を$ V$とする.
図 3.1: 空間に固定された閉じた領域
l6.5cm
Image fig3_1
任意の時刻において,$ V$内の流体の質量は

$\displaystyle \int \!\!\! \int \!\!\! \int_{V} \rho dV
$

である.したがって,$ V$内の流体の単位時間当たりの質量の増加は

$\displaystyle \dfrac{\partial}{\partial t} \int \!\!\! \int \!\!\! \int_{V} \rho dV = \int \!\!\! \int \!\!\! \int_{V} \dfrac{\partial \rho}{\partial t} dV
$

で与えられる.一方,$ S$を通って単位時間当たりに$ V$から流出する流体の質量は,微小な面要素$ \delta S$を通って単位時間当たりに流出する質量 $ \rho \bm{u} \cdot \bm{n} \delta S$$ S$全体で加え合わせれば

$\displaystyle \int \!\!\! \int_{S} \rho \bm{u} \cdot \bm{n} dS
$

である.ただし,$ \bm{n}$$ S$の外向き単位法線ベクトルである.流体が新たに発生あるいは消滅したりしない限り,$ V$内の流体の質量増加は境界面$ S$を通って流体質量が流入したことによるので,次式が成り立つ.

$\displaystyle \int \!\!\! \int \!\!\! \int_{V} \dfrac{\partial \rho}{\partial t} dV = - \int \!\!\! \int_{S} \rho \bm{u} \cdot \bm{n} dS
$

ここで,ガウスの定理を用いて右辺の面積積分を体積積分に変換して,移行すれば

$\displaystyle \int \!\!\! \int \!\!\! \int_{V} (\dfrac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot \rho \bm{u}) dV = 0$    

を得る.上式が任意の領域$ V$に対して常に成り立つためには

$\displaystyle \dfrac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \bm{u}) = ...
...{\partial \rho}{\partial t} + \dfrac{\partial}{\partial x_{i}} (\rho u_{i}) = 0$ (6.41)

が成り立つ必要がある.この式が質量保存則のひとつの表現であり,連続の式(equation of continuity)と呼ばれる.また,ベクトル公式

$\displaystyle \nabla \cdot(\rho \bm{u}) = (\bm{u} \cdot \nabla) \rho + \rho \nabla \cdot \bm{u}
$

を用いれば,連続の式(3.4)は次のように書き換えることもできる.

$\displaystyle \dfrac{D \rho}{Dt} + \rho \nabla \cdot \bm{u} = 0 または \dfrac{D \rho}{Dt} + \dfrac{\partial \bm{u_{i}}}{\partial x_{i}} = 0$ (6.42)

流体粒子の密度が運動中変わらないとき,すなわち $ D \rho/Dt = 0$であるとき,流れは非圧縮(incompressible)であるという.このとき連続の式は

$\displaystyle \nabla \cdot \bm{u} = 0 または \dfrac{\partial u_{i}}{\partial x_{i}} = 0$ (6.43)

に帰着する.



Yuta 平成22年1月23日