IT pass HikiWiki - [itbase2023]Fortran 課題 問題 Diff

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注意:
* 問題文に対して質問がありましたので一部を書き換えました. 問題の内容に変更はありません. (8/5)
* 欠損値の説明が正しくありませんでしたので一部を書き換えました. その部分は評価に影響しないように採点します. (8/16)


= 問題

下に用意したセファイド変光星のデータを用いて, 下に説明する処理を行うプログラムを作り, gnuplot を使って処理結果のグラフを描きなさい.
作成したプログラム (ソースコード, .f90 ファイル) とグラフ (pdf 形式) を提出すること.
データの詳細は下の説明を参照しなさい.

(1) 下の関係式を用いて, 変光星の絶対等級 M を求めるプログラムを作りなさい.

    ((<URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/eq_PLrelation.png>))

    ここで, P は変光周期であり単位は日 (day) である.
    E は波長 (色) に関する補正の為の係数 (色超過, color excess) で, 単位は等級である.

(2) 下の関係式を用いて, 地球からの距離 D を求めるプログラムを作りなさい.

    ((<URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/eq_Luminosity.png>))

    m は見かけの等級である.
    D の距離の単位は pc (パーセク) である.

(3) 銀河面 (銀河座標系における z=0 面) に射影した変光星の位置 (X,Y) を計算するプログラムを作りなさい.
    銀河面に射影したときの XY 面上の位置は下の関係式を用いて計算すると良い.

    ((<URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/eq_GalacticCoord.png>))

    ここで, φ, θ はそれぞれ銀経, 銀緯 (銀河座標系における経度と緯度) である.

(4) gnuplot を用いて, 銀河面 (銀河座標系における z=0 面) に射影した変光星の位置の分布図を描きなさい.

(5) 変光星の絶対等級のヒストグラムを求めるプログラムを作りなさい. 求めるヒストグラムは, 0.5 等級刻みとすること.
    (問題の意図に悩む学生がいるようですので補足です. 以下の (6) でヒストグラムのグラフを描くことを求めていますので, そのグラフを描くために必要な演算・処理を行うプログラムを作りなさい.)

(6) gnuplot を使って変光星の絶対等級のヒストグラムのグラフを描きなさい.


#(3) gnuplot を用いて, 変光星の見かけの等級の, 距離に対する変化を表すグラフを描きなさい.
#
#(4) gnuplot を用いて, 変光星の絶対等級の, 距離に対する変化を表すグラフを描きなさい.
#

上の 1, 2, 3, 5 のすべてを処理する一つのプログラムを作っても良いし, それぞれを処理する一つずつのプログラムを作っても良い.
また, 4, 6 で描くグラフには必ず縦軸と横軸の意味と単位 (あれば) を書くこと.


= データ

* ((<セファイド変光星のデータファイル|URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/data/data_Cepheid.txt>))
* データ形式
  * ファイルには 8 種類の数値が保存されている. それぞれの数値の意味は以下の通り.
    * 1 カラム目 : 通し番号
    * 2 カラム目 : 赤経 (right ascension, 単位は度)
    * 3 カラム目 : 赤緯 (declination, 単位は度)
    * 4 カラム目 : 銀経 (galactic longitude, 単位は度)
    * 5 カラム目 : 銀緯 (galactic latitude, 単位は度)
    * 6 カラム目 : 変光周期 P (単位は日)
    * 7 カラム目 : 見かけの等級 m
    * 8 カラム目 : 色超過 E
  * 注意 : 見かけの等級と色超過の負の値は欠損値である. どれかひとつでも欠損したデータを含む変光星は計算から除くこと.


= gnuplot を用いたヒストグラムの描き方

例えば,

  区間                 頻度
  -6.0 ≦ M ≦ -5.5    31
  -5.5 < M ≦ -5.0    42
  -5.0 < M ≦ -4.5    35
  -4.5 < M ≦ -4.0    32
  -4.0 < M ≦ -3.5    25
  -3.5 < M ≦ -3.0    22
  -3.0 < M ≦ -2.5    18
  -2.5 < M ≦ -2.0    15

のデータのヒストグラムを描く場合,
ファイルに下のように 1 カラム目に頻度区分の中心値, 2 カラム目に頻度を保存する.

-5.75    31
-5.25    42
-4.75    35
-4.25    32
-3.75    25
-3.25    22
-2.75    18
-2.25    15

そして,
gnuplot で下のようにすることで頻度分布 (ヒストグラム) を描くことができる.

  gnuplot> plot "file.txt" with boxes


= 用語説明

== セファイド変光星

発光強度が変化する恒星は変光星と呼ばれる.
そのうちの一つがセファイド変光星 (Cepheid variable) であり, その中の古典セファイド変光星の周期 P と絶対等級 M には下に示す明瞭な関係が知られている.

((<URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/eq_PLrelation.png>))

ここで, 変光周期 P の単位は日 (day) である.
また, 上の式では, 観測される光の波長 (色) に関する補正の為の色超過 (color excess) E の項も含めることで, より精度を高めている.


#== 天体の明るさと距離
#
#観測される天体の明るさは, 天体までの距離の 2 乗に反比例する.
#これは, 天体が射出する光のエネルギーが, 天体を中心とした半径 D の球を通過する時と半球 D0 の球を通過する時で, その球面全体の積分値が等しい事から理解できる.
#このとき, 半径 D の球面上での単位面積当たりの光のエネルギー F(D) は, 半径 D0 の球面上での単位面積当たりの光のエネルギー F(D0) と下の関係にある.
#
#((<URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/eq_Flux.png>))


== 等級

天体の明るさは「等級」で表される.
等級は, その値が 5 小さくなるほど 100 倍明るいことを意味するように定義される.
つまり, 1 等級の明るさの星は, 2 等級の星の 2.512 (100 の 1/5 乗) 倍明るい.
等級の原点 (0 等) は, こと座α星 (ベガ) の明るさで定義されている.


== 絶対等級

天体の明るさは天体までの距離によって異なるため, 天体固有の明るさを調べるためには基準となる距離における明るさを考える必要がある.
しばしば用いられる基準とする距離が 10 pc (パーセク) である
(1 pc ≒ 3.26 ly (light year; 光年)).
そして, 天体が 10 pc の位置にある場合の等級を絶対等級と呼ぶ.

このことと天体の明るさが距離の二乗に反比例することを考慮すると,
D pc (パーセク) の距離にある天体の見かけの明るさが m 等級であるときの絶対等級 M が, 下のように表される.

((<URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/eq_Luminosity.png>))

== 銀河座標系

天球上の天体の位置を表す座標系の一つである.
太陽を原点とし, XY 平面を銀河面と平行にとり, X 軸を銀河中心方向とした座標系である.


#= 参考文献


#* ((<Fowler, J. W. and J. R. Chillemi (1992) IRAS asteroid data processing, The IRAS Minor Planet Survey, 17, 43, Phillips Laboratory, Hanscom AF Base, MA. |URL:https://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/19940005152.pdf>))

#* ((<Harris, A. and A. Harris (1997) On the Revision of Radiometric Albedos and Diameters of Asteroids, Icarus 126, 450-454.|URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S001910359695664X>))

= 謝辞

* 数値データは ((<"DAVID DUNLAP OBSERVATORY, DATABASE OF GALACTIC CLASSICAL CEPHEIDS"|URL:https://www.astro.utoronto.ca/DDO/research/cepheids/cepheids.html>)) からダウンロードしました.
  * Fernie, J.D., Beattie, B., Evans, N.R., and Seager, S. 1995, IBVS No. 4148.


= 解答例

ただし, 下のグラフは正しくありません.

* ((<銀河面に射影した変光星の位置分布|URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/answer_map_wrong.pdf>))

* ((<変光星の絶対等級の度数分布|URL:https://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itbase/exp/fy2023/kadai1/images/answer_hist_wrong.pdf>))


= 裏方メモ情報

以下は課題に直接関係するものではありません.

* ((<Freedman et al. (2001)|URL:https://iopscience.iop.org/article/10.1086/320638>))
* ((<General Catalog of Variable Stars|URL:https://heasarc.gsfc.nasa.gov/W3Browse/all/gcvsegvars.html>))
* ((<NASA IPAC Extragalactic Database|URL:https://ned.ipac.caltech.edu/>))
* ((<Sakai et al. (2000)|URL:https://iopscience.iop.org/article/10.1086/308305>)) (Tully-Fisher relation)