[ITPASS2011]ezmlmのインストールと設定

ezmlmのインストールと設定

サーバ上でメーリングリストを管理できるようにするため, メーリングリスト管理ソフトとして ezmlm を導入する.

ezmlm のインストール

ezmlm とパッチダウンロードと展開

取得元や最新バージョンについては ezmlm オリジナル を参照のこと.

# cd /usr/local/src
# wget http://cr.yp.to/software/ezmlm-0.53.tar.gz
# tar xfvz ezmlm-0.53.tar.gz

ezmlm のパッチあてとビルド

まず, 2.3.1 以降の glibc 上で動くため, というのと log.h を使用するよう, パッチを当てる. パッチは ezmlm パッチ から入手する. パッチは /usr/local/src 以下に置く.

# wget http://itpass.scitec.kobe-u.ac.jp/~itpass/server/2011/ezmlm/ezmlm-glib-log.patch
# cd ezmlm-0.53/
# patch  < ../ezmlm-glib-log.patch

バイナリファイルのインストール先はこれまでのやり方にあわせ, /usr/local/ezmlm/bin 以下としたいので, conf-bin を以下のように書き換える.

# vi conf-bin

/usr/local/ezmlm/bin

man のインストール先も以下のように変更する.

# vi conf-man

/usr/local/ezmlm/man

これらのインストール先ディレクトリである /usr/local/ezmlm は先に作っておく必要があるので手動で作成する.

# mkdir /usr/local/ezmlm

conf-qmail に記述されているディレクトリが [ITPASS2011]qmailのインストールと設定#ソースの取得とコンパイル で qmail がインストールされているディレクトリと一致していることを確認する.

# cat conf-qmail
/var/qmail

# ls /var/qmail
alias/  bin/  boot/  control/  doc/  man/  queue/  rc*  users/

確認した後, make でバイナリを, make man でマニュアルをビルドし, make setup でインストールする.

# make
# make man
# make setup

ezmlm の実行ファイルへのパスの設定

インストールした ezmlm の実行ファイル群へパスを通す.

[ITPASS2011]パスの設定 <一般ユーザ用コマンドのパス> /usr/local/ezmlm/bin を追加する.

ezmlm のマニュアルへのパスの設定

/etc/manpath.config に以下の行を追加する. 詳しくは [ITPASS2011]パスの設定 を参照のこと.

MANDATORY_MANPATH                        /usr/local/ezmlm/man
MANPATH_MAP        /usr/local/ezmlm/bin  /usr/local/ezmlm/man
MANDB_MAP          /usr/local/ezmlm/man  /usr/local/ezmlm/man

ezmlm のテスト

メーリングリスト (ML) を作成する. 詳細は ezmlm-make の man (日本語訳) 参照. ここでは, chikuwa0 ユーザで, chikuwa0-testlist というメーリングリストを作成する.

$ mkdir ~chikuwa0/ezmlm-test
$ ezmlm-make ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist ~/.qmail-testlist chikuwa0-testlist tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

このコマンドにより, ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist が作成される.

次に作成した ML に ML 主催者が手動で講読者を追加する. 詳細は ezmlm-sub の man (日本語訳) 参照.

注意: 以降, アドレスの '_at_' は '@' に読み替えること.

$ ezmlm-sub ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist chikuwa0_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

登録されているアドレスは,

$ ezmlm-list ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist

で一覧される. 詳細は ezmlm-list の man (日本語訳) を参照すること.

登録が終了した後 ML へ投稿し, 先程登録したアドレスへ届くか確かめる.

$ echo Subject:Ezmlm_Test | qmail-inject chikuwa0-testlist_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

$ lv ~chikuwa0/Mailbox

次に ML の自動処理コマンドを確かめる. 始めに投稿アーカイブから記事を取り出すコマンドを試し, 記事が送られてくるかを確認する.

itpass ドメインの MX が張られていない場合は /var/qmail/control/defaulthost をホスト名までいれたドメイン (フルドメイン) にする必要がある.

$ qmail-inject chikuwa0-testlist-get.1_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp < /dev/null

次に ML 参加者による自動登録抹消を試す. Mailbox を確認し, 送られてきた確認メールの指示に従い, 空メールを返信して登録を抹消する.

itpass ドメインの MX が張られていない場合 /var/qmail/control/defaulthost をホスト名までいれたドメイン (フルドメイン) にする必要がある.

$ qmail-inject chikuwa0-testlist-unsubscribe_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp < /dev/null 

登録を抹消できたかどうか確認するため, ML 登録アドレス一覧を見る.

$ ezmlm-list ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist

ezmlm-idx のインストール

ezmlm に idx パッチを当てることで, メッセージをまとめて読むのに便利なダイジェスト機能の利用や, Subject の加工ができるようになる.

ezmlm-idx のダウンロード

バージョン 0.40 の ezmlm-idx をダウンロードする. 最新版として既に 7.1.1 まで出ているらしいが( <URL:http://www.ezmlm.org/archive/> 参照 ), Web にインストールドキュメントがあまり出回っていないため, 0.40 を使う.

# cd /usr/local/src
# wget http://www.ezmlm.org/archive/0.40/ezmlm-idx-0.40.tar.gz

ezmlm のソースコードへのパッチあて

以下の ezmlm-0.53 は ezmlm のパッチあてとビルド で使用されたディレクトリである. 特に conf-bin や conf-man などが変更されているため, 既に ezmlm-0.53 を削除してしまっている場合は上記のビルド前の設定を行う.

# tar xfvz ezmlm-idx-0.40.tar.gz
# cp -r ezmlm-0.53 ezmlm-0.53-patched_by_idx
# mv ezmlm-idx-0.40/* ezmlm-0.53-patched_by_idx/
# rmdir ezmlm-idx-0.40
# cd ezmlm-0.53-patched_by_idx/
# patch < idx.patch

crontab のありかを調べる.

$ which crontab
/usr/bin/crontab 

/usr/bin にあれば先へ進む. 違う場所にある場合は conf-cron にありかを書き込む.

MySQL (解説は <URL:http://www.mysql.com/> を使うか否かを決定する. 使う場合にはこの段階でやるべき作業がある.

続いて, 以下の作業を行う.

$ make clean
$ make; make man
$ make jp

最後の行は使用言語を選ぶものである. jp は日本語を意味する. これによっ て自動管理要請に ezmlm が応えてユーザに送る文言 (詳細) が日本語になる.

インストール前の ezmlm-idx の動作テスト

一時的にユーザ eztest を作成し (テスト後すぐ削除する), ezmlm-idx のコ マンドバイナリ群が実行できるか確かめる (ezmlm-test コマンド). また, ezmlm-test を実行する前に ezmlm-idx のコマンドバイナリ群にパスが通っているかどうかを確認する.

# chmod 755 ezmlm-test
# adduser --uid 50000 eztest
# su eztest

ここで su eztest と行ったが, sudo コマンドを用いる場合はデフォルトでは 環境変数 $HOME がログインしたユーザとなったままとなり正しく実行されな いので -H オプションをつけて実行する.

$ ./ezmlm-test

  testing ezmlm-idx:    ezmlm-idx-0.40
  Using FQDN host name: tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp
  ezmlm-make (1/2):     OK
  Using RDBMS support:  No.
  testing for qmail:    >=1.02
  ezmlm-reject:         OK
  ezmlm-[un|is]sub[n]:  OK
  ezmlm-send (1/2):     OK
  ezmlm-tstdig:         OK
  ezmlm-weed:           OK
  ezmlm-make (2/2):     OK
  ezmlm-clean (1/2):    removed mod queue entry 3 that wasn't due

上記のように正常に実行されることが確認した後に, exit する.

$ exit

ezmlm-idx のリビルド

MySQL を使わない場合は以下を実行する (使う場合には異なる作業が要る).

# make std
# make

以下を実行して ezmlm-idx のコマンドバイナリを /usr/local/ezmlm/bin 以 下にコピーする.

# make setup 

インストール後の ezmlm-idx の動作テスト

インストールされた ezmlm-test を実行し, /usr/local/ezmlm/bin/ 以下のコマンドバイナリ群にパスが通っているか確認する.

# su eztest
$ source /etc/profile  # bash の場合
$ echo $PATH
  .... /usr/local/ezmlm/bin   # <- ここにパスが通っていることを確認
$ cd /usr/local/src/ezmlm-0.53-patched_by_idx
$ ./ezmlm-test

  testing ezmlm-idx:    ezmlm-idx-0.40
  Using FQDN host name: tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp
  ezmlm-make (1/2):     OK
  Using RDBMS support:  No.
  testing for qmail:    >=1.02
  ezmlm-reject:         OK
  ezmlm-[un|is]sub[n]:  OK
  ezmlm-send (1/2):     OK
  ezmlm-tstdig:         OK
  ezmlm-weed:           OK
  ezmlm-make (2/2):     OK
  ezmlm-clean (1/2):    removed mod queue entry 3 that wasn't due

$ exit
# userdel -r eztest

prefix.pl の設置

cps 関連のメーリングリストに流れたメールの件名に番号を振るため, prefix.pl を /usr/local/lib/prefix.pl に置く. root 所有のため, パーミッションは 755 のままにする.

# cp /home/itpass/ftp/server/2011/ml_prefix/prefix.pl /usr/local/lib/prefix.pl
# chown root:root /usr/local/lib/prefix.pl
# chmod 755 /usr/local/lib/prefix.pl

ezmlm の自動送信メールのヘッダの設定修正

ezmlm-idx バージョン 0.40 による日本語化だけでは, 自動送信メールのヘッダの Content-type の charset が us-ascii に指定されてしまうため, メーラーによっては日本語が文字化けして表示される. これを解決するため, /usr/local/ezmlm/bin/ezmlmrc の末尾に

</charset/>
iso-2022-jp

を追加する.

こうすることで, ezmlm-make コマンドで新しくメーリングリストが作成された際に, 自動送信メールのヘッダの文字コードが iso-2022-jp であると宣言するように設定される. これは ezmlm-idx によってインストールされた日本語版の自動送信メールのテンプレートと同じ文字コードである.

# cd /usr/local/ezmlm/bin
# cp ezmlmrc ezmlmrc.org
# echo \</charset/\> >> ezmlmrc
# echo iso-2022-jp >> ezmlmrc

自動送信メールの日本語化のテスト

$ mkdir ~chikuwa0/ezmlm-test2
$ ezmlm-make ~chikuwa0/ezmlm-test2/testlist ~/.qmail-testlist2 chikuwa0-testlist2 tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

testlist2 ディレクトリ内に charset というファイルが作成されており,

iso-2022-jp

と記述されていることを確認する.

$ ezmlm-sub ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist chikuwa0_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

適当なメーラーからchikuwa0-testlist-help_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp 宛にメールを送り, 日本語のヘルプメッセージが文字化けすることなく表示されることを確認する.

エラーメールの転送設定

登録されたメールアドレスが正しくない場合, 配信先のサーバからメーリングリスト宛てにエラーメールが返送される. しかしデフォルトではエラーメールを破棄するよう設定されており, 運営上良くない. 以下では, エラーメールが管理者グループに届くよう再設定する.

先に作成したメーリングリストの,

/home/chikuwa0/ezmlm-test/testlist/bouncer 

を次のように変更する.

システムのメールアドレスの転送先を設定するにおいて, itpass サーバの管理者グループのアドレスを

itpadmin_at_itpass.scitec.kobe-u.ac.jp

としている場合,

vim /home/chikuwa0/ezmlm-test/testlist/bouncer 

  &itpadmin_at_itpass.scitec.kobe-u.ac.jp
  |/usr/local/ezmlm/bin/ezmlm-weed
  |/usr/local/ezmlm/bin/ezmlm-return -D '/home/chikuwa0/ezmlm-test/testlist' 

と書き換えた. ただし, _at_ はアットマークである.

設定後, テストを行う. ezmlm-sub を用いて, chikuwa0 のメーリングリストに

$ ezmlm-sub ~chikuwa0/ezmlm-test/testlist 1234567890@stu.kobe-u.ac.jp

のように存在しないアドレスを登録したうえで, 適当なメーラーから chikuwa0-testlist_at_tako-itpass.scitec.kobe-u.ac.jp 宛てにメールを送り, 管理者にフォワードされていることを確認する.

配送テスト

全ての作業完了後, DNS 班に [ITPASS2011]gate-toroku-systemのインストールと設定#ezmlm を使う場合の設定 の作業を行ってもらい, その後 itpass-ml の配送テストを行う.

参考文献

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